2024年6月9日IMフィリピン参戦記(藤村吉男氏)

町トラメンバの一員である藤村さんがIMフィリピン参戦記をまとめてくれましたので公開いたします。

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IRONMAN PHILIPPINES 2024
藤村 吉男
2024 年6 月9 日フィリピンsubic bay で開催されたIMフィリピンに練習仲間の高浦さん、
河野さんと3人で参加してきました。
・距離:スイム3.8km、バイク180km、ラン42.195km、合計226km。
・制限時間:17 時間
6月はフィリピンでも暑い季節、更に当日は雨が降らず1日中暑さとの闘いでした。
以下、当日の模様を報告します。

【スタート】
早朝3時に起床、4時にホテルを出発し3人で夜道を歩いてスタート会場に向かう。
まず、トランジッションでバイクのセッティング。前日の預託時はハンドルをバイクラックに架けているので、バイクの向きを変え補給食・ボトル等をセットする。
タイヤの空気、ギア、メーターの状態も再確認。スイムスーツに着替えてスタートの準備が出来た頃には空が白み始める。
パーソナルニーズは、バイクは100km 地点から14 ㎞毎に6回、ランは10 ㎞毎に3回受け取れる。私は、バイクは使わず、ランの袋には補給食とヘッドライトを入れる。
バイクバッグ、ストリートバッグ、パーソナルニーズバッグを預託してスイムスタートに向かう。
暑くなりそうなので、途中は出来るだけゆっくり走る事にする。頑張ってもすぐに限界が来るはず、と考えるとリラックスしてスタートを待つことが出来た。

【スイム】
スイムコースは1.9km×2周回。水温が高く当然ウエットスーツは禁止。ローリングスタートで3人ずつ2~3秒ごとにスタートする。
水は生温く遠浅で50m位は水の中を歩いてから泳ぎだす。透明度もあり5m以上先の選手も見える、波もなくバトルもなく泳ぎやすい。
スイムは長丁場の入り口種目なので、私はいつも楽に泳ぎ切るのが目標。ピッチを上げずローリングと長いストロー
クでゆったりと泳ぐ(と意識しているが実態は??)。
更に同じスピードの選手を見つけて後ろに付く作戦、追い越したい気持ちを押さえて。
1周目を終わってタイムを見るとちょうど50 分(2:38/100m)で予定の範囲内。
2周目も、後半に少しうねりが出てきたが気持ちよくスイムアップ。
<スイム合計 1:43:15(2:42 分/100m)>
速くはなってないが、2年前から始めた早朝スイムのおかげで楽に泳げるようになってきた。(タイムも縮めたいけど、まだ時期尚早?)
バイクのトランジッションに行くと、高浦さんがちょうど着替えたところ。着替えてバイクラックに行くとまだ居て、結局、2人揃ってバイクスタート(いつもの練習と同じ風景や!)

【バイク】
バイクコースは、前半90km がアップダウンの多い高速道路を2周回、後半90km が平坦な周回道路を6周回。
スタート後、数キロで坂が始まったが、ここでトラブルが発覚。フロントディレーラーが動かず、アウトからシフトしない。
道路端に止まって確認すると、ディレーラーの電動プラグが抜けている。触っているとプラスチックの破片も落ちてきて、プラグを挿そうとしても引っ掛からない。
高浦さんが追い付いてきて一緒に状況を見てくれたが解決しない。リタイアも頭をよぎったが、アウターで走り切る覚悟を決めて再スタート。
前半の90km が乗り切れればなんとかなる。ダメならそこで判断するしかない。ただ、登り坂はインナーで楽に登る作戦だったのに、早速破綻。
最初の登り坂のピークはアウターだけでなんとかクリア、少し先が見えた。
少し平坦な道が続くが、暑くてスピードもやる気もダウン、エイドを楽しみに我慢しながら走る。
バイクのエイドで用意されているのは、基本的に飲料のスポーツドリンクと頭から被る水の2つ。ゼリーもあるはずだがあまり覚えていない。
エイドに到着すると2~3人の若者が取り囲んで来る。「シャワー」と言うと頭から良く冷えた水を掛けてくれる。頭も体も震えるほど一瞬で体温が下がる。「ウォーター」というとスポーツドリンクのペットボトルをくれる。
その場でごくごく飲んでいると「ワンモア―?」とか聞かれてまた水を掛けてくれる。靴の中までビジャビジャ、ランの靴擦れが心配だが、まずは熱中症予防を優先。
前半2つ目のピークも、アウターで登り切る事が出来た。後半の90km に入れば急坂はないからバイクはなんとかなりそう。
後半は約14km のコースを6周回。熱中症になると体が動かなくなるので、ここでも毎周回のエイドで立ち止まり、ゴクゴクと水分補給、頭から水をザバザバ掛けてもらって走る。
途中、ゼッケンを見るとM80 の人に追いつき、しばらく話しながら並走。「行ける所まで行きます」と力強く走っている。自分の10 年先を考えると、想像もつかない凄さ。(ただただリスペクトするばかり)
3周目あたりで高浦さんを追い抜く、だいぶ疲れている様子だ。6周目に入る所で河野さんに会う。河野さんはスイムが得意なはずので、バイクで追いついたようだ。その後も順調(?)に走ってバイクゴール。
<バイク合計 7:56:11(22.89km/h)>
エイドは合計11 回利用、1回3分とすると合計33 分の時間を使った事になるが、結果的にはこれで良かったようだ。ディレーラーのトラブルも乗り越えた事になる。
補給食は半分くらい残っていたのでエネルギー不足が心配だが、被り水のおかげで暑さの疲れはあまり感じない。

【ラン】
ランは10km×4周回。
スタートして500mもしないうちに心肺が苦しくなり、落ち着くまで歩く事にした。
その後も歩いたり、走ったりだが、制限時間まで7時間あり完走は出来そうだ。
M70-74 は出場5人なので、歩きを最小限にすれば3位入賞の可能性は残っている。
ランのエイドは1~2km 毎にあり、ここでもたっぷりの「シャワー」をサービスしてくれ、ビニール袋に入った氷も貰える。
毎回、シャワーと氷袋を2つ貰って走る。私設エイドも多く、若い人が楽しそうに寄ってきて冷たい「シャワー」をしてくれる。厚意を無碍にする訳にはいかないと思っていると、場所によっては10m位おきに冷たい洗礼を浴びる事になる。
2周目の途中で河野さんが追いついてきた。ランで復活したようだ。
ランコースは折り返しが3か所ありすれ違いが多い。この後も何回もすれ違い少しずつ離されていったが、仲間が居るのは心強い。
3周目にpersonal needs バッグからヘッドライトを取り出す。途中暗い区間があり安全の為が目的だが、もう一つは少しでも気持ちアップするため。
3周目の終わり頃、ゼッケンを見ると同エイジの人に追いついた。僅差で入賞を逃したら悔しいので、最後の4周目は歩かないよう頑張ることにした。

【ゴール】
4周目、最後の折り返しを過ぎるとゴールまで残り5km。
沿道からは「Congratulations!」と声をかけられ、都度「Thank you!」と応えながら走る。
ここまで来ると気持ちはウイニングランのモードに切り替わる。これまでの辛さが一気に消え、嬉しさが込み上げてくる幸せな時間。元気も出てくるのが不思議だ。
ついにフィニッシュゲートの花道に入る。やはり体は疲れていてスピードは上げられずゆっくりとフィニッシュ。 今回も最高の瞬間を迎える事が出来た。
選手のリカバリーエリアに行くと河野さんが待っていた。10分位前にゴールしたと。2人で食事、着替をしてタクシーでホテルに帰る。
高浦さんは残念ながらバイクでリタイアしたとの事。
この後シャワーして3人で祝杯をあげながら1日を振り返る。 記録速報を見ると私はエイジ2位。明日の表彰式が楽しみだ。
M70-74 のエイジ出場者は5人で内3人が完走。2人はランの残り5km、10km でそれぞれリタイア。
バイクでお会いした80 歳の方はバイクゴールの時間に間に合わなかったようだ。(後で確認するとコナ5回出場のレジェンドでした)
同年代の者として、リタイアしてもここまで頑張った選手達にも称賛を送りたい。


<リザルト>
SWIM 1:43:15
T1 11:08
BIKE 7:56:11
T2 10:17
RUN 6:13:57
TOTAL 16:14:47

【最後に】
河野さんは海外アイアンマン初参加・初完走。私もフィリピンは初めて。今回のフィリピンツアーは、飛行機、ホテル、タクシーなど、全て高浦さんが企画してくれ、お陰でまた新たな経験を積む事が出来た。
トライアスロンは、練習でも試合でも仲間の存在が重要だ。
これまでアイアンマンを含めロングの出場は合計23回、内完走は16回だけ。
初ロングは54歳の宮古島。当初から遅かったので今でもタイムはあまり変わらないが、年齢を重ねるにつれエイジの順位だけは少しずつ上がって来る。 アイアンマンの入賞は2019 年マレーシアに続き2回目。
ロングはいつも完走するのがやっと。目標はあくまで完走で、表彰台はおまけの楽しみのつもりだ。
今後も病気、事故、故障に気を付けて続けられれば有難い。

2024 年6月